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BLACK FLAG
(1976-1986,2003,2013-2014,2019-)
ブラックフラッグ
Hardcore, Punk,
LOOSE NUT (1985.5月)
- Loose Nut 4:32
- Bastard In Love 3:15
- Annihilate This Week 4:43
- Best One Yet 2:33
- Modern Man 3:07
- This Is Good 3:25
- I’m The One 3:10
- Sinking 4:32
- Now She’s Black 4:50
5th
SST Records
Henry Rollins(Vo:S.O.A.,Rollins band)
Greg Ginn(G)
Kira Roessler(B)
Bill Stevenson(Dr:Descendents)
これまでの実験性とメタルへの接近
プログレやフリージャズの要素を
消化しきった故か
ここに来て”初期パンク”に寄った音に
奇妙なオルタナティヴを混ぜた感じに
かなりキャッチーな部分も散見され
かなりポップな仕上がりになっている
聴いていてどうにも引っかかるのは
1980年代印のミックス
というかドラムの音の処理
ドラムプレイはベースと共に
完璧な仕事をしていると思うんだけど
ドラムの音が80年代当時の産業ロック的な
整い過ぎたサウンドに感じる
これは後にリリースされるライブアルバムの
バージョンを聴くとわかりやすいが
今作のミックス作業は
曲をかなり平坦な印象に
してしまっていると思う
が、このドラムの音の処理は
当時のグレッグ・ギンのお気に入りの音だった
狙ったのはPILの1981年作
独自のプレイを繰り広げていたベーシスト
ジャー・ウォブルが脱退した為に
ベース無しで打楽器による”リズム”に
焦点を当てて作られた
ポストパンクでトライバルで
エクスペリメンタルな名盤
[The Flowers Of Romance]の
ドラムだったって説がある
このアルバムのリズムワークは
なんというか
神がかっている
制作当時
ジョン・ライドン[ジョニー・ロットン]には
今までにない音楽を作っているという
自覚がしっかりとあった
開拓者精神みたいなものが炸裂している
事実、このアルバムのセッション中に
今までのプロデューサーをクビにしている
「俺たちはお前には理解できない音楽を作っている」
とジョン・ライドンは言ったという
そのあと「クソして寝な!!」とも言ったんだって(笑)
そして
グレッグ・ギンのブラックフラッグにおける
このドラムサウンドへの試みは
失敗だったって説がある
個人的にこれはこれでありだと思うし
(のちのライブアルバム
[who’s got the 10½? (1986)]の
バージョンの方が勢いがあって好きだけど
あれはライブですから)
失敗だったって意見がどうなのか
リリース当時からこれを聴き込んだ人が
言ってることなのか
このアルバムを1、2回聴いて
放り投げた人が言ってることなのか…
俺にはどーにも判断がつかないんで
“説”って言葉に逃げました
当事者グレッグ・ギンは
ここから数年にわたって
SSTからのリリース作品に
この手のドラムサウンドを使い続けた
バンドのリリースの中でも
かなり過小評価されている
このアルバムは
所謂スルメ盤なんじゃないかな
聴くほどに良くなってくる
あれ程の音楽的革新をし続けたブラックフラッグが
たどり着いた音なんだから
一周回って元通りみたいな
単純な事じゃあ無いんだろう
どこまでもインディペンデント
音で聴き手を揺さぶり続ける存在
HARDCORE PUNK
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